「GR&Rの原理を理解してから使って!」の内容を、品質部門の新人研修で講義しています。今回同僚の講師が、GRRを実際に使ってみる演習を足してくれました。難しい理論よりも、実感が湧くと思いますので、紹介します。
資料はこちら → GRRまとめ
p.1 「部品No.1~10の全長を部品Aと部品Bの群について、3名の測定者が3回ずつ測定した結果」です。
p.2 統計ソフトMnitabを用いてGRRを算出する手順です。➀データシートのC1、C2及びC3の部品No.、測定者及び測定値を入力、②統計→品質ツール→ゲージの分析→ゲージR&R分析(交差)の順番にクリック、③部品、測定者、データ⇒各選択ボタン、④OKクリックすると、右のような解析結果が得られます。下欄の合計ゲージR&Rが求めるGRR値になります。
p.3 組立品AとBのグループのデータ(p.1)を用いて、Minitabを用いてGRRを算出します。部品AのGRRが2.55、部品AのGRRが46.87と算出されました。
p.4 GRRの算出結果より、部品AはGRRが10%以下なので、この検査法が受け入られ、部品Bは30%以上なので、この検査法は受け入れられないと判定されます。したがって、部品Bの場合は、精度よく測れる器具や計測方法に変える必要あります。同じ検査方法を用いているにも関わらず、なぜ判定が異なるのでしょうか? そこで、部品AとBの測定結果をヒストグラムで描いてみました。左図をご覧ください。部品Bの測定値に比較して部品Aは測定値の拡がりが大きいことがわかります。測定値の広がりと検査法精度の相対比によりGRRが変わることを理解ください。
p.5 「GR&Rの原理を理解してから使って!」の資料の再掲です。GRRのイメージは、「全変動を100%とした際の測定のバラツキを%表示」です。前ページの検査値の拡がりが、工程変動と見なしてみると理解し易いと思います。
以上より、検査対象物の特性値と検査精度との比較によりGRRが決まりますので、特性値のばらつきに注意が必要です。