品質工学に「有効除数」や「線形式」という数式が登場します。どのような意味があるのか、悩むことがあると思います。これらが登場してきたのは、「理解に骨が折れる内容」の添付資料のp.4で説明していますが、回帰直線からの偏差を小さくするために最小二乗法で求めた傾きβの分子が線形式、分母が有効除数でした。この関係式を見ると、静特性と動特性における式の意味合いが類似していることがわかります。
資料をご覧ください。 → SN比式
左が静特性、右が動特性の関係式です。左は、ある信号Mの時にy1~ynのデータが得られたとします。目標mからの偏差を小さくする望目特性のSN比を求める式を導出します。一方、動特性の場合は複数の信号と誤差因子毎にデータがありますので(右上表)、SN比の式が複雑になってきます。そこで、真中にある水色の表のように、静特性のデータ数nを有効除数、データyを線形式Lと置き換えると類似していることがわかります。動特性のβは線形式を有効除数で割った値です。誤差因子が2つの場合は、2つの直線の平均的な傾きβとして算出されます。静特性の信号Mを1とすると、分子はデータyの合計、分母は1がn個あるのでnとなり、yの平均値となります。 以上のような見方をすると、線形式や有効除数の意味するところがイメージし易くなってくると思います。動特性のSN比算出式の分母はVeではなくVNになっています。これは、意図的に与えた誤差因子による変動SN×βを通常の変動Seに加えた総合的な変動SNにしたためです。
昨日も話しましたが、以前に見た情報を時々見返すと「ああそうだったのか」という知見を得ることができます。