「うんこの世界」(著者:アダム・ハート 発行所:晶文社)から第2弾。以前、「肥満は感染する?」で、肥満や痩せている人の腸内細菌の話をしましたが、健全な腸内細菌にする管理手法が研究されています。プレバイオティクスとプロバイオティクスで腸の入口と出口を管理するものです。プレバイオティクス(prebiotics)は、「大腸の特定の細菌を増殖させることなどにより、宿主に有益に働く食品成分」と定義されています。プロバイオティクス(probiotics)は、有害な病原細菌を抑制する「抗生物質(antibiotics)」に対して提唱された概念で、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に有益に働く生きた微生物」と定義されました。前者の代表がオリゴ糖、後者はヨーグルトや納豆などの発酵食品があります。プロバイオティクスに関する疾病予防や治療に関する表示は、法律上認められていませんが、機能性表示食品では「おなかの調子を整えます」、「脂肪の吸収をおだやかにします」などの表示は許されているようです。プレバイオティクスとしては、以下の野菜類が効果があります。
リンゴ、ブルーベリー、ナシ、スイカ、ネギ、ニンニク、アスパラガス、小麦、バナナ、トマト、エンドウ豆、インゲン豆 植物繊維が豊富なものが良い
プロバイオティクスは、ヨーグルトや発酵食品を口から摂取する方法がありますが、健康な人の便を肛門や経鼻から移植する糞便移植(FMT:Fecal Microbiota Transplantation)の方が効果がでるようです。
最近、アレルギーを抱えている患者が増加しています。以前「衛生仮説」が脚光あびたことがあります。肥料が人糞から化成肥料、トイレが水洗化、手指消毒などの衛生環境が改善されて清浄化されたことと逆相関でアレルギーが増加したという説です。これについては、明確な実証はされておらず、最近は「旧友仮説」に変化してきています。都市化により、微生物にさらされる機会が減少したことが免疫系のバランスを悪化させたという説です。どちらも同じことをいっているような気がするのですが、ニュアンスが異なるようです。私は、最近、菌による畑の土壌改善や、植物繊維を積極的に食べているので、花粉症が改善されるといいのですが。