「空気圧の本」(著者:香川利春 発行書:日刊工業新聞社)の中に「フルイディックス」という語句が登場します。「フルイディックス」とは、空気の流れによって演算を行い、増幅して駆動にも利用する可動部を持たない技術のことで、1950年から1975年くらいに研究され、実用化されたものがあります。検索してもなかなかヒットしなかったのですが、最近ミクロな分野で見直されているようです。
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p.1 電子を用いないスイッチング回路のようなものを液体や空気の流れを切り替えるシステムがあります。「論理形フルイディックス」と呼ばれています。制御する流体の流速の変化を感じて、供給ポートに入った流体の流れの方向を変えます。ガスの流量計に応用されたようです。トランジスタが発達する前に、0と1の論理的回路として研究されていました。バルブ等のメカニカルなものがなく流路だけで形成されています。流体研究の第一人者である中山先生考案の渦形フルイディックスの概念図が左下図です。真中下が動作の説明図です。流体が流れることにより圧力低下の空間が生じると、流体はそちらの空間に吸引されて流れの方向が変わります。交互に流れの方向が変化します。電気的なスイッチ機構は不要です。東北新幹線の融雪のために散水するノズルに利用されたようです。故障も少ないでしょうね。
p.2 フルイディックスが利用されているかどうかは不明ですが、「マイクロ流体コンポーネント」には使えそうな技術です。ミクロなバルブ形成が困難な流路において、使えそうな気がしています。
過去に発見された技術が、他の技術と融合して新たな技術が産まれるのではないかと思います。