「皮膚ガスのはなし」(著者:関根嘉香 発行所:朝倉書店)を紹介します。
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p.1 表の10項目について当てはまるものにチェックを入れてください。複数回答OKです。
p.2 お酒を飲む方は、エタノールが分解したアセトアルデヒドが呼気だけでなく、皮膚からも排出されます。肉や魚をたくさん食べる方は、タンパク質からアミノ酸に分解され、さらにアンモニアに分解されて、肝臓で処理しきれないと皮膚からアンモニア臭がします。アンモニアは、「疲労臭」の原因でもあります。ストレスがあると、アンモニアが排出されやすくなります。ニンニクも食べすぎるとアリシンが分解したアリルメチルスルフィドが皮膚から排出されます。このところ暑い日が続き、エアコンの部屋に閉じこもっていませんか?クーラーの効いた部屋にいると一部の汗腺が休眠状態になりますので、暑い外に急に出たり、睡眠不足になると塩分濃度が高いベトベト汗をかくことになります。たまには汗を積極的にかく時間を設ける必要があります。発汗量は、酢酸量を検出することでモニタできるようです。 「加齢臭」の原因は、皮脂が分解してパルミトレイン酸になり、紫外線や活性化酸素によって変化した過酸化皮質と反応して「2-ノネナール」が生成することによります。これを除去するために、皮脂を落としすぎると過剰に皮脂が分泌し、逆に2-ノネナールが増加してしまうようですので、ご注意ください。たばこを吸う方は、皮膚からニコチン、トルエンあるいは3-エチニルピリジンを排出しています。ピリジンは、大学頃嗅いだことがあります。二度と嗅ぎたくない臭さでした。
p.3 皮膚ガスは、①表面反応由来、②皮脂腺由来と③血液由来に分類されます。①は皮脂が紫外線や活性化酸素で変性したり、皮膚にいる常在菌により分解された物質が揮発して臭います。加齢臭の原因「2-ノネナール」はこれです。②は汗腺や皮脂腺から分泌される物資が臭いの原因になります。血中の酢酸イオンは汗に含まれて分泌され、弱酸性の皮膚上で揮発性の酢酸になります。③タンパク質は腸でアミノ酸やアンモニアに分解され、アンモニアは肝臓で尿素になり、通常は尿で排出されますが、処理しきれないと血中から皮膚を通して排出されます。エタノールも処理しきれないアセトアルデヒドが皮膚から排出されます。周囲の人に不快感を与えないようにするためには、食べ過ぎ、飲み過ぎ、たばこの吸いすぎには注意しましょうね。 最近、これらの皮膚ガスをモニタリングして病気を診断する研究が盛んになってきています。手首に装着してアンモニア量を可視化するデバイスも試行されているようです。そのうちに、アップルウォッチにも組み込まれるか?非侵襲なので人に優しいですね。