IEの手法について説明していきます。
資料はこちら → IEその2
p.1 作業がムダかどうかを判断するには、作業の標準時間を設定する必要があります。習熟した作業者が一定の作業条件で余裕もってできる作業時間のことを「標準時間」とします。標準時間は種々の要因でばらつきます。表にまとめました。ばらつきを解消する改善策は全て埋めていませんが、治具、工具、部品あるいは仕掛品を「定置化」すると改善されます。
p.2 改善するためには現況を把握することが必要です。把握する手法として「ワークサンプリング」があります。作業の内、時間構成率(手持ち、取り出し、セット、検査、運搬などの比率)を求めます。 次は、「工程分析表」に整理します。「加工」は付加価値工程ですが、「停滞」は仕掛在庫となり、ムダになる可能性が高い工程になります。運搬と停滞工程をいかに低減するかが改善策になります。
p.3 「目標サイクルタイム」を設定する必要があります。生産時間(分)を生産個数(個)で割って算出します。例えば、生産時間:450分/日、生産個数:300個/日の場合、目標サイクルタイム=450/300=1.5分/個となります。改善前は、7人の作業者がいて各々のサイクルタイムを棒グラフにしてあります。この場合の作業編成効率は、総作業時間の8.1分を(7人×目標サイクルタイムの1.5分)で割って百分率にして算出します。この場合は、77.1%となります。 この工程の最小作業人数を算出します。黄色の網掛の計算式で計算します。総作業時間を目標サイクルタイムで割ると5.4人と算出されます。この工程の作業人数を6人と設定します。そうすると作業編成効率は、90.0%となり改善することがわかります。
p.4 1ラインで複数製品を流動する事例です。A製品:200個/日、B製品:100個/日を製造する場合です。現行の総作業時間はA製品が8.5分、B製品が10.0分、作業者数が7名の場合のサイクルタイムを棒グラフに示しています。この工程の最小作業人数を下式で計算すると6名が得られます。
p.5 A工程は600個/日、B工程は300個/日の製造能力があるとします。B工程が律速しますので、300個は仕掛在庫として停滞します。 では、A工程を毎日300個/日とすれば仕掛在庫がなくなりムダがなくなる改善策はどうでしょうか? A工程が成形工程の場合、金型温度が一定になって成形スタートするまでの段取り時間が毎回発生します。 停滞と段取り時間の何れがムダになるか検討する必要はあります。改善策としては、事前にできる段取りを「外段取り」として予め済ませておき、当日必要になる「内段取り」を極力低減する方法があります。
改善策を立案する場合には、定量化した数値が拠り所になりますので、これらの手法を身に付けましょう。