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金額換算してみる

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品質コストを取り上げます。品質工学を創設した田口先生も、品質コストと関連付けて論じられています。以下の田口玄一語録には、「品質改善はコスト改善の手段に過ぎない(コスト第1)」と言っています。先生の言葉を真に理解するには、まだまだ修行が足りないと思っています。 本日取り上げる「品質コスト」は、品質担当者だけでなく、全ての部門の方が意識して、リソースを配分していく必要があると考えます。

田口玄一語録はこちら → http://kaz7227.art.coocan.jp/taguchi-goroku.pdf

資料をご覧ください → 品質コスト

p.1 品質コスト4つの項目で分類できます。大きくは品質を適合させるための「適合コスト」と不良品などの「不適合コスト」があり、各々2つの項目があります。に各々のコストに該当する項目を書き入れておきます。製品を製造する際には、製造コスト品質コスト(枠)となります。製造コストの中に適合コストが含める場合もあります。品質コストは可能な限り具体的に金額換算するべきです。「不適合コスト」はわかり易いのですが、「適合コスト」は、金額換算し難い性質があります。この「適合コスト」を把握することで、品質システムが過剰管理になっていないか、評価体制が弱くないかなどの指標にすることができます。例えば、会議時間も金額換算すると、無駄な時間を浪費していることもわかってきます。

p.2 ①は、不良品が多く、市場でクレームが多発している際のコストの量的関係を示しています。②は、市場でのクレームが出ないように、検査数を増加させて対応します。評価費用、再生費用などがアップしますが、内部不良数はまだ低減されていません。③内部不良を減らすべく、製品仕様や製造条件見直しなどを実施するため「予防コスト」が増加します。この時期が品質コストがピークになり、苦しい期間となります。④予防施策が功を奏し、不適合コストが低減し、⑤さらに製造パラメータの監視等で予防品質が維持されます。今どの段階にいるのか、どこにコストを掛けるべきなのかを見える化したいものです。

p.3 上述の③の時期に、ボトルネックを把握して施策することが期間短縮に有効です。ヒト・モノ・カネの切口でボトルネックを挙げ、知恵を出し合います。

p.4 短期的に対応するか長期的に対応するかによってもコストが変わってきます。横軸は右に行くほど品質レベルが高くなります。縦軸は品質コストです。適合コスト緑色不適合コスト赤色の曲線です。トータルコストがの実線になります。短期では、集中して適合コストとするためトータルコストAは、同じ品質レベルの長期対応のBに比較して高くなります。ところが、時間軸を考慮すると何れがコスト増しになるかは時間のかけ方などで逆転もあり得ます。適合コストと不適合コストのバランスが重要です。

p.5 横軸を検査数あるいは検査間隔とした場合の不良コスト適合コストの関係を図にしています。のトータルコストがミニマムになる検査数や検査間隔に設定するのが妥当です。左図頭で考えたイメージ図です。以前のブログ「最適検査間隔は?」で実際に計算した曲線が右下の図です。イメージ図とは印象が異なるように見えますが、この図が実態を表しています。事象により異なるコスト曲線になりますので、是非、該当する事例で数値を入れて図を描いてみてください。実際に手を動かしてみることが大事です。

p.6 金額換算すると、品質をよく考えるようになると思いますので、是非、品質コストを意識してみてください。その際に、適合コストと不適合コストのバランスが重要です。「プロジェクトの三角形」を描いて見るのもよいかもしれません。概念を説明します。左図の三角形の頂点に項目名が書かれています。緑色の円が「品質」です。この図は、必要最小限の品質が守られている状態です。真中の図をご覧ください。上から「時間をかけない」「コストをかけない」「製品機能を落とす」場合です。三角形の頂点の項目が100%の場合が頂点の対辺です。80%のラインは頂点側に20%近づいた対辺です。80%の線品質の円を横切るため、品質が劣化します。コストや製品機能を落とす場合も、同様です。2項目を減らす場合はさらに三角形が小さくなり、品質リスクは高まります。 右下は、コストを多くかけて品質を保証していますが、多少コストが過剰になります。

今回、品質コストを取り上げました。金額換算すると、品質をよく考えるようになると思いますので、是非、関心を持ってください。

本日の相田みつを語録は、「アレも コレも ほしがるなよ」です。

 

 

 

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