プラスチックの特性の中でも、設計に重要な引張弾性力、曲げ弾性力などについてまとめてみます。
資料はこちら → プラスチック基礎その2
p.1 先ず引張に関する項目です。 縦軸が「応力」、横軸が応力を与えた場合に生じる「ひずみ」です。変形量ですね。いくつか曲線が描かれています。ひずみと応力が直線の場合は、バネのように応力に比例して長さが変化する場合で、弾性体と呼びます。応力を取り除くと、元の長さに戻りますね。オレンジ色の線は脆性材料で、ある応力までひずみが増加していきますが、×印のところで破断してしまいます。元には戻りません。緑色は延性材料と呼ばれ、応力をかけると伸び続け最後に破断します。多くのプラスチック材料は黒の実線のように、最初は弾性体のように直線的に変化していき、ある応力でピークとなり、以降変形が急激に増加して破断します。このピークを降伏点と呼びます。黒い実線が上にある材料程変形し難い材料と言えます。 「引張弾性率」とは、微小変形させたときの傾きを表しています。曲線の接線の傾きですね。 「引張強さ」は、最初の最大応力と定義されていますので、降伏点がある場合はこのピークの値となります。
p.2 材料の違いによる弾性曲線のイメージ図です。曲線が上方にあるほど強度が高いことを示しています。PSやPMMAは、伸びずに一気に破断します。PMMAはガラスにように透明性が高く強度もガラスより高いので、水族館の大型水槽の窓に使用されています。
p.3 引張弾性率と引張強さの数値と設計時のポイントを表にしています。表を弾性曲線でイメージして描いたものが右下図です。ABSにガラス繊維を混合するとABS単体よりも強度は上昇する代わりに、伸び難くなります。
p.4 曲げ弾性も、引張弾性と似たような曲線を示します。弾性率は、曲げも引張も同程度。 強さは曲げの方が引張の1.5倍程です。 設計時には、引張の特性値を用いることが多いようです。曲げ特性は計測し易い利点があります。
プラスチック素材を用いる場合は、いろいろな特性値及びその環境による影響も考慮する必要があります。