「フィッシャーの3原則」について説明します。実験計画を立てる際のポイントです。
資料をご覧ください → フィッシャーの3原則
p.1 「反復」「無作為」「局所管理」が3原則です。1つ1つ説明します。反復は文字通り、実験を繰り返すことです。1回の実験においてパラメータの水準を幾つか振ります。反復すると何がよいかというと、例えば2つの製品性能を評価する場合に、分散分析で差異を評価します。差がある場合にF値に反映して欲しいですね。反復数が増えると、分母のデータ数が増え、分子の群間変動も増えますので、F値の精度が向上します。
p.2 無作為化は既に皆さん無意識に実験されているかもしれません。左上図をご覧ください。畑を9分割して日照量及び肥料量は右に行くほど多いとすると、スイカは右側が大きくなると推測できますね。肥料量が日照量と逆のパターンの場合はどうでしょうか?(左下)日照量と肥料の効果が交絡してスイカの大きさは予測不能になるかもしれません。 いずれの場合においても、日照量と肥料の効果を分離して見積もることはできません。そこで、無作為化という方法を取り入れます。日照量の向きを固定して、肥料の量をランダムに配置します。
p.3 局所管理とは、同じ環境下のブロック毎に条件を変えて実験を行います。こうすることにより、日照量と肥料の効果を分離して数値化可能になります。この手法は2元配置分散分析で利用されています。 ブロックは、製造ライン、作業者、作業日、季節などの項目で分けます。
p.4 反復と無作為だけを利用する組み合わせを完全無作為化法、これにブロック化を加えた組み合わせを乱塊(らんかい)法、横方向のブロックを加えたものをラテン方格法と呼びます。 このラテン方格法を上手く利用したものが実験計画法の直交表なのです。 パラメータが多い場合は、実験計画法の方が楽ですね。さらに特性ではなくSN比で評価するのが品質工学なのです。私のお勧めは品質工学の後、許容差設計(実験計画法に近い)の順番です。誤差因子を考慮せず、特性値を目標値になるように設定する実験計画法だけでは後で二度手間になりますよ。開発技術者は手を抜いてはいけません。SN比による品質の安定パラメータを見極めることが先決です。