昨日、「ハリネズミは哺乳類なのに変温動物」という記事が載っている本「動物たちの内なる生活」を紹介しました。本日は、「ハリネズミの願い」(著者:トーン・テレヘン 発行所:新潮社)を紹介します。 かなり前から書店に並んでいて気にはなっていたのですが、先日漸く購読して読み始めました。本屋大賞の翻訳小説部門受賞の帯が付いた本です。
ハリネズミが自宅に動物たちを招待するための手紙を書こうして、いろいろ想像する物語です。この動物が来たらどうなるかを想像するのです。本当にいろいろな動物について想像します。 「迷い」「孤独」「自分自身」「目的」「あとで」「いま」「関心」「必要」「存在」「人生」「幸福」「死」という言葉があちこちに現れます。いろいろな情景を想像しながら、これらの言葉を作者自身が自問自答しているようです。 ハリを持っていることで自分を嫌ったり怖がり、招待しても来ないのではないかと危惧したり、逆にハリを抜いた状態の自分を想像したりします。 読んでいるうちに、何も行動しないうちから、そんなに悩むなとイライラしましたが、実社会でもいろいろな場面で、なかなか踏み出せないことはよくありますね。このハリネズミというかこの作者の創造力はずば抜けています。そこまで考えるかと思います。
カメとカタツムリは、歩みが遅い友達同士なのですが、カタツムリはカメよりさらに歩みがのろく、いつもカッカ怒っています。カメは早く先に行きたいのですが、カタツムリに合わせています。 他の動物は1回の登場ですが、この2匹は何回か登場します。読んでいて、ハリネズミ同様にこの2匹にはイライラしますが、カメは寛大です。
ハリネズミは6℃以下であれば、夢も見ずに冬眠していますが、6℃を超えると命の危険が迫り半錘状態で悪夢を見ているかもしれないと上述の「動物たちの・・・」に書かれていました。 いろいろな動物が来る想像しているのは、この悪夢を見ているのかもしれません。
この2つの本をほぼ同時期に読んで「ハリネズミ」の話が出ているなんて、偶然でしょうか? 昨日の「粘菌」や「カラス」なども、別々のブログで書いたことが、1冊の本の中で偶然見つけました。不思議です。 人間の脳はこうやって、いろいろな引き出しのものがリンクしていくのでしょうか? 人工知能(AI)にはできないでしょうね。
ハリネズミのように想像力を働かせて考えたり思うは良いことですが、それによって行動しないのは困りますね。一歩踏み出すと別の世界が見えてくるかもしれません。