J.ベルヌの小説「神秘の島」(J.ベルヌ 発行:福音館書店)を読んだことはありますか? 技師のサイラスを含めた乗員5名と犬1匹を載せたゴンドラが嵐に遭い、無人島に不時着します。墜落を回避するために、ゴンドラに載せていたお金、食糧ばかりでなくゴンドラも切り離して捨てたため、不時着した時には生きていくための物は何も持っていなかったのです。1本しかなかったマッチ棒も使用した後嵐が来て、火を起こすことができなくなってしまいます。 さて、この時サイラスはどうやって火を起こすでしょうか? 火打ち石もダメ、木の摩擦も上手くいきませんでした。推測してみてください。 答えは、上記本のp.128ご覧ください。
p.174 サイラスが「一から作ろう」と言いました。「一」とは、天然の物質を変形させる装置です。 何でしょうか? 「かまど」です。かまどを作るレンガの材料である粘土を探しに行きます。このかまどで陶器を焼きます。
p.176 弓と矢を作製。 矢じりは、「山あらし」のトゲ。
p.202 鉄鉱石と石炭で鉄を作るのに、まず「あざらし」を獲りに行きます。何のために? 想像できますか? 皮で「ふいご」を作ります。
p.214 溶かした鉄を鍛えた後、ペンチ、やっとこあるいはつるはしを作製。
p.234 焚き木の上に黄鉄鉱(硫化鉄)を積み上げて火をつけると、黄鉄鉱には炭素と硫黄が多く含有しているのでよく燃える→ 通風孔を設けて土と草で全体を覆う→ 硫化鉄が硫酸鉄に、土や草に含まれるアルミナが硫酸アルミニウムに変化する(10~12日)→ 水に溶かして蒸留して硫酸鉄の結晶を作る→ 密閉容器に入れて焙焼して出た蒸気を凝結すると硫酸になる。硝石(硝酸カリ)と硫酸を化合させ、分解蒸留すると硝酸ができる。
p.235 ヒジキ、クロツノマタ、ヒバマタなどの海藻を乾燥→ 地面に穴を掘りその中で燃やす。灰が溶けるまで高温で焼くと「天然ソーダ」(灰色の固形物)ができる。これをジュゴンの脂肪と合わせて、グリセリンと石鹸を作り出す。
p.238 湯であたためてグリセリンを気化させた中に硝酸をいれると黄色の液体ができる。 これは何でしょうか? そうです。「ニトログリセリン」なのです。これは、湖の縁を発破で崩して川をつくるためのものでした。
上述したように、何もないところから物を作り出していく物語を読んでいると、化学系出身の私としては、この技師サイラスは頼りがいのあるリーダーで憧れてしまいます。いろいろな知識の引き出しをたくさん持っていると、いざという時に力を発揮できますね。この物語の最後も非常に興味深いものがあります。是非一読してみてください。
この「神秘の島」をモチーフにしたエンターテイメントな映画が「センター・オブ・ジ・アース2」です。英語を勉強したい方はどうぞ。→ https://www.youtube.com/watch?v=v6-JpmAGI6w
同じJ.ベルヌ作の「地底旅行」(J.ベルヌ 発行:福音館書店)をモチーフにした「センター・オブ・ジ・アース」も迫力があります。 本を先に読みましょうね。