「小説みたいに楽しく読める 生化学講義」(著者:吉村成弘 発行所:羊土社)を読み始めました。今まで生化学は、化学式が出てくるので敬遠していました。タイトルの「小説みたいに楽しく読める」に惹かれて手に取った次第です。グルコースの化学構造式は環状と直鎖の2通りあること知っていましたか? 知ってはいましたが、曖昧な記憶でした。これ以外にもわからないことが多く、いろいろネットで調べて資料にまとめてみましたので、ご覧ください。
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p.1 グルコース(ブドウ糖)を糖の基本構造としておきます。乳糖の成分であるガラクトースは、4番目の炭素についている水酸基の位置がグルコースと異なっているだけです。これだけで甘みが変わります。甘みについては、p.4の左下表を見てください。1番炭素のアセトアルデヒド基と5番炭素の水酸基が「ヘミアセタール結合」により6員環に環化します。1番目の水素と水酸基の位置の違いでαとβに分類されます。水に溶けた状態で、環状のものと直鎖のものが混在しています。
p.2 1番炭素がアルデヒド基の場合「アルドース」、2番目炭素がケトンの場合「ケトース」と分類されます。前者がグルコース、後者がフルクトース(果糖)です。フルクトースの環化は、「フラノース」五角形環状(5員環)と「ピラノース」六角形環状(6員環)の2種類があり、各々αとβがあります。
p.3 グルコース、ガラクトース及びフルクトースの環状と直鎖の構造式を並べておきます。水素と水酸基の位置が違うだけで、名称が異なり、性質も異なるのは不思議ですね。
p.4 単糖が2つ組み合わさって二糖が合成されます。左下表にまとめました。通常「砂糖」と言っているスクロースの甘みを1とした際の、他の糖の甘度を記しておきます。果物の甘みである果糖が一番甘く、赤ちゃんが飲む母乳やミルクのガラクトースは甘さ控えめですね。
p.5 デンプンは、アミロースとアミロペクチンから構成されていて、アミロース及びアミロペクチンは、グルコースが繋がった構造です。アミロースもアミロペクチンいずれも螺旋構造をしており、アミロペクチンは分岐もありますので、アミロースよりも複雑な構造です。
p.6 右がデンプン、左がグリコーゲンです。いずれもグルコースが繋がって、さらに複雑に分岐した構造です。デンプンは植物、グリコーゲンは動物の体の中に蓄えられます。
p.7 左上の表に特徴がまとめられています。「ヨウ素デンプン反応」で発色することを学校で習いました。アミロースの螺旋の中にちょうどヨウ素分子が取り込まれることにより発色するようです。
p.8 デンプンやグリコーゲンはアミラーゼで、その後グルコシダーゼで単糖に分解され小腸に吸収されます。デンプンの粉に水を入れて加熱すると糊状になり、冷やすとゲル状になります。
p.9 人間には消化酵素がないので、分解できないのがセルロースです。グルコースが直線上に繋がり、分子内水素結合で強固になっています。これらが、分子間水素結合により繊維状の構造になっています。植物の茎が縦には裂けやすいですが、垂直方向には切断し難いのはこの構造のためです。
p.10 カニの甲羅はキチンです。アルカリのNaOHで脱アセチル化をするとキトサンに、塩酸で加水分解するとグルコサミンになります。そしてグルコサミンは、ヒアルロン酸の成分でもあります。ヒアルロン酸は、高い保水力で皮膚や関節の潤いや弾力を保つと言われて、サプリメントが流行っていますが、経口投与しても患部まで到達するかは疑問です。グルコサミンもサプリメントで飲んだとしても、ヒアルロン酸になるかどうかわからないと思います。飲めば、プラセボ(偽薬)効果で、よくなった気がするかもしれませんが。右上のようにキチンファイバーを用いて新たな用途が生まれてきそうです。
単糖類の話から、ヒアルロン酸まで拡がってしまいました。ただ、今まで敬遠してきた語句が、調べることによって、多少繋がって来た感をしています。