「画題で読み解く日本の絵画」(著者:佐藤晃子 発行所:山川出版)から続きです。以下のような予備知識があると、絵画を見る楽しみも湧いてくると思います。
資料はこちら → 日本の絵画その2
p.1 鉄拐(てっかい)仙人と蝦蟇(がま)仙人です。鉄拐仙人は、魂を遊離することができます。吹きかけた息の先端にいるのが魂です。魂を抜いて遠方の人を訪ねている間に、弟子が約束の7日より1日早く身体を焼却してしまい、近くにあった足の不自由な物乞いの死体を見つけ、その身体を借りて蘇りました。そのため杖をつくようになりました。蝦蟇仙人は、3本足のヒキガエルを従えた妖術使いです。
p.2 「竹林の七賢人」です。新しい思想を生んだ貴族文化を代表する人々として、後世に大きな影響を与えた七人ですが、七人が同時に活動したわけではありません。
P.3 「院中八仙」は、八人の酒豪で、詩人の李白も含まれているそうです。「商山四皓(しょうざん(の)しこう)」は、乱世を避けて、商山に隠遁した四人の老人です。「四皓」はあごひげと眉が白い四人の老人の意です。「虎渓三笑」は、ある物事に熱中するあまり、他のことをすべて忘れてしまうことのたとえで、慧遠法師が陶淵明、陸修静と話に夢中になって、決して渡らないと誓った渓谷を渡ってしまい、三人で大笑いした故事に由来します。
p.4 「三酸図」は、3つの教え(道教、儒教、仏教)のどの立場に立っても、酸っぱいものは酸っぱい、真理はただ一つであるという意味を表しています。「見立三酸図」は、武家・遊女・商家と、身分の違う「小町=美人」3人をモデルにしたものです。
p.5 「四睡」は、禅の悟りや異類和合(生きとし生けるものが分け隔てなく調和すること)の境地を示しています。昨日取り上げた寒山・拾得が四人の中に居ます。「見立四睡」はパロディーで、虎の代わりに猫になっています。
p.6 五百羅漢とか十六羅漢が仏像、石像あるいは絵の題材になっています。釈迦入滅後に、悟りを得て仏法編纂や仏法を拡げた弟子たちです。十六羅漢筆頭の賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)は、「おびんずるさま」と呼ばれ、この尊者の像で撫でると、病気平癒や治癒のご利益があると信じられ、日本各地の寺院に仏像がありますね。村上 隆の五百羅漢は、現代風に描かれていて宇宙に通じるものがあります。
村上 隆の五百羅漢展の動画 → https://www.youtube.com/watch?v=cOQbH_PlEZ8
p.7 「瀟湘(しょうしょう)八景」です。瀟湘は、古より風光明媚な水郷地帯、かつては楚の中心地として栄え、伝説や神話に彩られた土地の風景です。水墨画の題材として用いられました。寺院、舟、雁、月、漁港、雪、雨及び霞などが描かれます。これらの題材が含まれない八景図もあります。