統計の本を読んでいたら「ジニ係数」の話が出てきました。以前にも「不純度をゼロにして」「新月が平等?」「データをよく見て!」で取り上げました。今回は、ジニ係数で所得格差を評価しているデータをまとめてみました。
資料はこちら → 所得格差
p.1 ジニ係数の意味を説明しています(再掲)。ジニ係数0が45度の直線上にあり格差がゼロで、三日月(斜線部)が大きくなるほどジニ係数は大きい値を示して格差は拡がります。
p.2 左が先進国のジニ係数の変遷です。いずれもジニ係数が上昇傾向にあります。英国は急に減少している箇所があります。真中のグラフはジニ係数の順位です。2012年のデータでやや古いですが、ジニ係数が0.4以上になると暴動の危険性が高まります。ジニ係数は、通常「クズネッツの逆U字曲線」のように、開発途上で一時ジニ係数がピークを持ちますが、その後格差がなくなり安定化します。ところがさらに開発が進んで裕福な環境になるとジニ係数が再び上昇します。富裕層と貧困層の格差が拡がってきます。米国がその状態にあります。一部の富裕層が裕福な構図になっています。移民問題もあるかもしれません。
p.3 ジニ係数の順位を横軸に示しています。左上は所得の再分配で補正前、左下は再分配後の順位です。右は、再分配前後の差分の順位です。差分の順位が大きいほど、再分配を積極的に実施している国になります。フランスは積極的、日本は消極的であることがわかります。
p.4 左は、所得分布の変遷です。低収入世帯の比率が年々上昇してきています。右のグラフを見ると、30歳未満のジニ係数が上昇し、60歳代以上のジニ係数が減少しています。上記再分配は、高齢者に対して優遇した政策のため?かもしれません。
統計のジニ係数などでデータを見ると、社会の問題点が見えてきます。私は、どちらかというと技術的な分野で統計を利用してきましたが、たまにはこんな分野にも関心を持ちたいものです。