医療統計を少し勉強してみようと思います。今回は「オッズ比」を取り上げます。
資料はこちら → オッズ比
p.1 なんらかの因子(例えば放射線)への暴露の有り無しと、事象(例えば病気)の発生有り無しの2✕2の分割表を作成したときに人数をa、b、c及びdとします。オッズ比θ=ad/bcで表します。これに対して、リスク比={a/(a+b)}/{c/(c+d)}となります。
p.2 オッズ比とリスク比はどのように使い分けるのでしょうか?飲酒有り無しとガン罹患有り無しのデータの取り方により使い分けます。前向き研究の事例は、飲酒有り無しの2群について10年後のガン罹患状況を調査します。飲酒有り無しの人のガン罹患のリスク比を算出すると飲酒有りの人が無しの人より罹患のリスクが4倍と算出されます。この時、リスク比算出式の分母が飲酒有り無しの各々の合計であることに注意ください。次に、後向き研究の事例です。ガン罹患有り無しの人について、飲酒有り無しを調査した結果が、左中央の表です。飲酒有り無しの2群についてガン罹患のオッズ比を各々算出します。この時、分母は合計人数でなく、罹患なしの人数になります。リスク比も合わせて算出しておきます。 左下の表は、ガン罹患有りの人数を2倍にしています。オッズ比とリスク比を同様に算出します。オッズ比は変わらず、リスク比は変化しています。リスク比は罹患有り無しのサンプリング人数を変えると変化してしまい、求めたい飲酒がガン罹患しやすいか否かの評価値にすることができません。
p.3 オッズ比とその信頼区間の関係を左上に示します。信頼区間が1の右にあるか、1の左にあるかあるいは1をまたぐかにより、判断したい群が対象群に対して有意に大きいか、小さいかあるいは判断できないかに分類できます。 オッズ10.0(8.0−12.0)とオッズ3.0(0.5−6.0)の精度は各々の信頼区間の(下限値/上限値)が1に近づくほど上がります。信頼区間の算出方法は、後日説明することにします。